なめらかな日々

水のように生きたい

2019/10/01 G・ガルシア=マルケス

 短編の小説を書きあげて一息ついた。やっと解放されたと思った。出来上がった原稿を推敲していると非常にくだらないものに見えてきた。実際くだらない。ラストまでの持っていき方が少々強引な気がするし、執筆中ずっと川上未映子「すべて真夜中の恋人たち」を必携していたので、影響がすごい。あげくの果てにタイトルが出来合いのもの。なにかの創作論で読んだが、最初にタイトルが思い浮かばなかった作品は芯がないということだから駄作の可能性が高いという論を見かけた。私もそう思う。もう読み返さないと決めた。

G・ガルシア=マルケス「族長の秋 他6篇」を読了した。「族長の秋」は前読んだし、読むのに少々気力が必要そうなので短編を読んだ。

ガルシア=マルケスが何者なのか全く知らずに彼の作品を触ったが、ここ最近でようやく「マジック・リアリズム」という言葉を知った。「族長の秋」で、とつぜん王様が突飛な言動をはじめるのに、なんだろうこれ、語り手が嘘をついているのか、本当に王様がこんなことをやっているのか、とあっけにとられたのを覚えているが、私はどうやらこういう手法で書かれた小説が好きらしい。石井遊佳の「百年泥」もちょっと気になっている。

 粗筋を読んで面白いと思っていたエレンディラはやはり相当面白く、最近読んだ小説のなかでかなり心を動かされた。エレンディラと祖母がおりなす生活を永遠に追いたいと思った。翻訳の仕方でそうなってるのか知らないが、伝道僧に咎められた時の祖母の態度や、ウリセスが好きな人についてたずねられたときの「べつに……」という受け答えなど、各所にシュールさ?コミカルさがあって、そこのあたりが面白い。

 

 同じくらいに衝撃を受けたのは「大きな翼のある、ひどく年取った男」。天使らしきみすぼらしい老人が目にうかぶようだった。これは「エレンディラ」よりもっと短い短編だが、最後のページをめくったとき「え、もう終わりなの?」とひどく残念に思った。

天使のようすを変えることができたのはただ一度、何時間も動こうとしないのでてっきり死んだと思い、仔牛用の鉄の烙印を押し付けて脇腹を焼いたときだった。天使はぱっと目を覚まし、ちんぷんかんぷんな言葉で喚き立てた。目には涙を浮かべていた。

って部分が好き。カワイイ。

たぶん「大きな翼のある、ひどく年取った男」の文中にあったものだと思うが、「星の動き」という言葉に閃いて、そこから着想した小説を書いている。千字以下の掌編になるだろうと思ったのに、現時点で3千字を超えそうだ。マジックリアリズムを倣って書き始めたのにただのファンタジーになりつつあるのが不安ではるが、書き上げた短編よりは面白いという自負がある。小説書くの楽しい。

 

クロール

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