なめらかな日々

水のように生きたい

東京再訪-9/3、渋谷

 ちょっと日記を書くのが疲れたので、この日は断片的に書こうと思う。慣例として書いた備忘録のようなものであることを了承して欲しい。

 

ホテルを出る日。AM7:30に頑張って起床。準備時間は例のごとく、音楽をかける。このときかけた、SportifyでディグったCHAIの「ほれちゃった」が頭に残っている。うまく言えないが、イントロから初々しい「惚れちゃった」感を感じる。ボーカルの言葉でなく、音楽がものを言っているように思える感覚をこの曲で久々に感じた。


CHAI『ほれちゃった / Fallin Love』Official Music Video

 青山一丁目駅にキャリーケースを預けて、乃木坂駅まで歩く。今日は乃木坂駅で、アイトラッカーさんとゆうまさんとで待ち合わせて美術館でやっている「話しているのは誰?現代美術に潜む文学」展、マッド・ドッグ・ジョーンズ展、このふたつを見に行く予定だった。だった、のだが、ひとつハプニングがあった。

 その日は火曜日。国立美術館は、休館だったのだ。ひとり6番出口に到着した私は休館を報せる看板を見て、ちょっと驚きながら看板の写真を撮ってグループに画像を送った。まあいいか、くらいの楽観的な気持ちがあった。

 そうしているとゆうまさんがやって来て、話していると、こちらの方にやや小柄な女性が歩いてきた。見れば事前に送ってもらった服装と同一の服を着た、アイトラッカーさんだった。ダークブラウンのロングヘアをまっすぐに下ろし、おっとりとした目元と全体にフェミニンな服装。おしとやかな印象を受けたが、時折目つきがシャープになる時があって、綺麗・可愛いという印象をどちらも持ち合わせた方のように思えた。

 

 まず表参道駅について、ゆうまさんがヒグチユウコの店に行きたいというのでついていくことにした。ヒグチユウコのアイテムが並ぶ店内は自分と全く違う趣向の世界に思えて、それが楽しかったとも言える。

 ゆうまさんは1つ目のキャラクターのマスコットがほしいと言ってガチャガチャを何回か回していたけれど、それでは出ず、別な方法で手に入れたようだ。猫のマスコットを要らないと言って私とアイトラッカーさんに渡していた。

 見分する間、アイトラッカーさんに読書遍歴などを聞いたが、本当にいろいろ読むとのことだった。具体的な書名はあまり聞かなかった記憶が残っている。

 また彼女に、立ち振る舞いから見ておっとりした印象を受けますというと、自分の文章はおっとりしていないし素の自分もけっこう違うと言っていた。分人主義というやつかもしれない。また、ビジュアル系バンドが好きだと判明したことがこの日最大の衝撃だった。ビジュアル系とひとくちに言っても、普通に音楽をやっているバンドから墨汁を飲むバンドまで幅広く、アイトラッカーさんは両方好きらしい。V系は自分にとってかなり遠い存在である。いつか触れる日も来るのだろうか。

 

 そこからDIESELというブランド内にあるフリーギャラリースペースで、マッド・ドッグ・ジョーンズの作品を見た。アーティストには申し訳ないが簡潔に、綺麗だった、とだけ言っておこう。アイトラッカーさんがデジタルで描いた雲の絵は、山本二三みたいで素敵だった。

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 アートギャラリーののち、ゆうまさんの強い希望によりタリーズコーヒーに行った。このとき、前日に買った『石垣りん詩集』を彼女に贈った。何も用意してないと申し訳なさそうにするアイトラッカーさんに、いいんです私が贈りたいだけです、手紙とか贈り物とか好きなんですよ、とかぶりを降る。ゆうまさんはノディエを贈っていて、アイトラッカーさんは喜んでいる様子だった。

 2日と同様、ゆうまさんがSkypeのグループ通話を行った。また人が続々と集まっている。私は傍聴に徹していた。Fさんに私の印象を聞かれたアイトラッカーさんも少々発言していたが、彼女にとっては知らない人だらけだろうしなと思って少し心配していた。

 

通話は終了し、ルイ・ヴィトンのボルタンスキー展示を見に行った。道中ではアイトラッカーさんのアルバイトの話をした。バイトをふたつ掛け持ちしていて、一人暮らしをするための資金を貯めねばならないとのことだった。バイトをまるっきりやっていない自分を鑑みてちょっと肩身が狭く思った。また、「立ち入ったことを聞きますが」と前置きした上で少しだけ恋愛の話を伺った。

 

ルイ・ヴィトンには「アニミタス」が展示されていた。ゆうまさんがずっと見てられるね、と言っていて本当にそうだなと思った。ゆうまさんたちが椅子に座って話している間、私はボルタンスキーのインタビュー映像を見て、メモ帳にメモを取っていた。しかし大したことは書けていない。

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そのあと時間が余り、ゆうまさんが子供向けの雑貨屋に寄っていた。私も玩具を見ていると可愛いものがあって、つい買ってしまった。東京で唯一、自分のために買ったものだった。ムーミンのキャラクターがジャム瓶に入ったような形のディスプレイ雑貨である。スティンキーが出た。

 

 そのあとまたカフェに30分くらい滞在した。創作の話ができて楽しかった。アイトラッカーさんは文芸部に所属していたが、ノリが合わなくて辞めそうだと言っていた。聞くところによるとアニメや漫画が好きなオタク系女子ばかりだそう。高校のときの漫研の子がそうだった。普通に話しているときはいいけれど、カップリングとか推しとかそういった話になると大声を上げだして騒ぐのがちょっと苦手だった記憶がある。彼女たちの世界では日本語に代わってアニメやゲームが共通言語と化しているのだ。オタクになるにも適性が要るな、とつくづく思った。

 

 話をしたあと、時間が近づいたので申し訳ないながら移動し、駅名すら忘れたが改札内の階段の下でお別れした。いつだろう、何年後になるかわからないけれど、また縁があれば顔を合わせられたらなと思う。

 

 そうして東京を離れた。

 皆が元気で過ごせていれば、それだけで十分幸せで満足できることなのではないかと思う。これから何がどう変わるのか、何が残るのか一つも計り知れないけれど、私も元気で生きていられたら、また東京を訪れるかもしれない。

エンドロールには早すぎる

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